My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ




「父さん」



大きく咳払いをしてから、またもや訳の分からない事を言いだしそうな父を静止する

それでも、ゲラゲラと笑ってレイアに話しかけようとするもんだから、ホリスが思わず父とレイアの間に割って入った




「貴様っ、ゲル! 姫に向かって何を申す!」

「ホリス、まだまだ青いな。そのままでは立派な騎士にはなれぬぞ」

「なっ...!!」

「お前に足りぬ物が、1つだけある」



父のペースに巻き込まれそうなのを必死に耐えるホリス

その姿が可笑しくて、笑いを堪えた




どうも2人は馬が合うらしい

父に剣を教えてもらう様になってから、どんどん打ち解けあっていく2人

まるでずっと昔からお互いを知っていたように



とは言っても、剣の腕は申し分ないホリスに教える事など、もはや何もないのだが

やはり多国に出向いた事のある父の話が、ホリスにはとても興味深かったみたいで

庭先で2人で話しているのを何度か見た事がある



必然的に俺もその輪の中に入る事もあって、ホリスとも話せる機会が今までよりも増えた

父の天真爛漫な性格もあってか、徐々に表情を増やしていくホリス



まぁ、初めは抗っていたようだが

どうも父のペースに飲まれた様だ



< 233 / 388 >

この作品をシェア

pagetop