My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「父さん」
大きく咳払いをしてから、またもや訳の分からない事を言いだしそうな父を静止する
それでも、ゲラゲラと笑ってレイアに話しかけようとするもんだから、ホリスが思わず父とレイアの間に割って入った
「貴様っ、ゲル! 姫に向かって何を申す!」
「ホリス、まだまだ青いな。そのままでは立派な騎士にはなれぬぞ」
「なっ...!!」
「お前に足りぬ物が、1つだけある」
父のペースに巻き込まれそうなのを必死に耐えるホリス
その姿が可笑しくて、笑いを堪えた
どうも2人は馬が合うらしい
父に剣を教えてもらう様になってから、どんどん打ち解けあっていく2人
まるでずっと昔からお互いを知っていたように
とは言っても、剣の腕は申し分ないホリスに教える事など、もはや何もないのだが
やはり多国に出向いた事のある父の話が、ホリスにはとても興味深かったみたいで
庭先で2人で話しているのを何度か見た事がある
必然的に俺もその輪の中に入る事もあって、ホリスとも話せる機会が今までよりも増えた
父の天真爛漫な性格もあってか、徐々に表情を増やしていくホリス
まぁ、初めは抗っていたようだが
どうも父のペースに飲まれた様だ