My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
アレン―――
押し潰されそうな胸を押さえて、辺りを見渡す
私の腕を掴む騎士達の声も聞かずに、ただただ眼下で1人を探す
不安に押しつぶされそうな心を、ぐっと押さえながら
ただただ、その姿を探す
すると、森から駆けだしてくる1つの影が目に入る
真っ赤に染まった鎧を身に着け
銀色の髪の男と共に白馬に乗り、周りの騎士達を誘導しながら駆けてくる
途端に胸の中に空気が入る
安堵が胸いっぱいに広がって、目頭が熱くなる
「アレン...ホリス...」
零れた言葉は微かに震えていて、頼りなく揺れた
今すぐ駆け出したい衝動に駆られながら、ぐっと両手を握る
「急いで騎士達を王宮の中へ。入り次第、門を締めよ」
真っ直ぐに騎士達にそう言って、強く目を閉じた