My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
生き残り
空が赤く燃えている
夜の暗闇の中にいるはずなのに、空が赤く燃えている
目を閉じても、燃える様に真っ赤に――
「大丈夫か、アレン」
名を呼ばれて、ゆっくりと閉じていた瞳を開ける
未だに燃える世界の中に、父が微笑んで俺を見下ろしていた
「――父さん」
「ひどい顔だ。少し休め」
座り込んでいた俺の頭を優しく撫でてから、同じ様に隣に腰を下ろした父
そして、手に持っていたパンを差し出した
「これを食べたら、少し休め」
「休んでる暇なんてないよ」
「アレン」
パンすら受け取らない俺を咎める様に名を呼ぶ父
父さんの言う通り、食べなきゃいけない事も、休まなきゃいけない事も分かっている
ガスパルの攻撃が止んでいる今
体力を蓄えておかなければ
でも、どうしてもそんな気になれない
レイアの元に報告にも行かなければならないのに、ホリスに任せてしまった
どうしてか
心がついていかなくて