My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ



「それは...どういう意味だ?」



眉間に皺を寄せたホリスが、アレンに問いかける



「――俺は生かされた存在だった」

「生かされた?」

「大勢の人から、ね」



どこか寂しそうに瞳を伏せて、そう言うアレン

その隣には、いつの間にかゲルの姿があった



その言葉の真意が掴めなない

生かされた?

どういう事だ?




「俺は、この国を救う事ができる」



しかし、もう一度前を向いたアレンの瞳は力強いものだった

真っ直ぐに前を見つめる、黄金の瞳




「そなた...何を言っている」




訳が分からないといった様にアレンに詰め寄るホリス

すると、ふっと口端だけで笑ったアレンが首から下がる何かを、おもむろに取り出した



途端に現れる、一つのもの

炎の様に真っ赤に燃える石

微かな光を得て、虹色に輝く――その石


どこか見覚えのある、その石を見て息を詰めた




「その...石は」



擦れた様な私の声を皮切りに、周りがざわつき始める

アネモスの王家の石と、対になる石



約束の証

愛の証

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