My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「ホリス」
「――何だ」
手に握られた食料を見つめながら、声を落とす
聞きたかった事
確かめたかった事
「ホリスは――俺が竜族の王子だと...信じているか?」
普通に考えて、この状況でこの国を出る事は、逃げると捉えられてもおかしくはない
絶望的なこの状況で、きっと逃げ出したい者もいるはず
ましてや、俺はこの国の者じゃない
例え国を捨てても、何の問題でもない
それに、滅びたと言われている竜族の王子だなんて
普通なら信じがたい
そんな俺の事を、信頼していてくれているのだろうか――
どこか長い沈黙が世界を覆う
重たく感じるその空気に、息が詰まりそうになった時
「信じている」
真っ直ぐに伸びた声が、再び時間を動かす
勢いよく伏せていた瞳を上げると、ホリスと目が合った