My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「我が一族にも、1つの言い伝えがある」
そして、ゆっくりと話し出したホリス
柔らかい風が頬を撫でた
「この国が暗闇の中に堕ちた時、黄金の瞳を持つ一族と共に、再び光の中へ導け――と」
「黄金の...瞳」
「私の一族は古くから、王家に仕えている。伝説の中にある姫君が竜族の王子と出会った時、お側にいたと考えても不思議ではない」
「――」
「おそらく、我らの先祖もその竜族と約束を交わしたのだろう。この国が闇に沈む時、必ず助けに来ると」
黄金の瞳
それは竜族の王家の証
「以前から、もしかしてとは思っていた。剣を持った時のお前の瞳の色。太陽をはめ込んだような輝き。伝説と同じだった」
「――」
「だから、そなたが竜族の王子だと言った時、やはりかと思った。その計り知れない剣の強さ。まさしく戦士の頂点に発つ者だ」
揺れる事のないホリスの瞳
俺の事を心から信じてくていると伝わってくる
「きっと竜族も、その約束を忘れてはいないはずだ」
一度も会った事などない、竜族
それでも分かる
きっと、このアネモスに伝わる伝説の様に
語り継がれていただろう
光の国を救え―――と