My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
しばらくして、名残惜しそうに離れる唇
アレンの美しい瞳に映し出された自分が、どこか寂しそうに見つめ返してくる
ふと視線を下ろすと、アレンの胸元に輝く炎の石に目がいく
その首からさがる宝石が、自分の首からさがるものと重なる
まるで共鳴する様に輝いている
「伝説は、本当だったのだな」
固い愛で結ばれた二人の約束
永遠に色褪せる事のない、約束
「運命ってものを初めて感じたよ」
柔らかく微笑んだアレンが、優しく私の髪を撫でる
微かに伝わる熱すら愛おしくて、離れたくなくなる
「必ず、この国を救ってみせる」
「――」
「奪わせはしない」
力強い言葉と瞳が私を射ぬく
夜風で冷え切った私の頬をアレンの指が撫でていく
「必ず戻る」
「――あぁ」
微かに頷いた私を見て、勢いよく馬に飛び乗ったアレン
そして、美しい月を背に手を伸ばしてくる