My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ


「カルファ、時間がないのだ。王に会わせてはくれぬか」

「ユアン様にか?」

「お願いです。会わせていただけませんか?」



詰め寄る俺達2人に目を見開くカルファ

それでも、少し考える素振りを見せた後、不敵に笑った




「この貸しはでかいぞ? ゲル」

「――あぁ。恩に着るよ」




苦笑いをして、頭を下げた父の姿を見て会わせてくれるのだ核心する

本当に父さんの人脈には驚かされる

どの国へ行っても、父は歓迎されるのだから




「ただ、ユアン様は客人をあまり歓迎なさらない」

「――」

「気を悪くしないでくれ。このご時世だ。疑心悪鬼になっておられる」




小声でそう俺達に告げて、王宮へ案内してくれた










それから俺達はカルファに連れられて、王宮の中に入った


真っ赤な絨毯がひかれた王の間

天高くそびえる柱の前には、数えきれない程の騎士達が並んでいる



それを横目に、黄金に輝く王座の前で跪いた




「――そなたが、ゲルとアレンと申す者か」

「はっ。この度は急な謁見にも関わらず、お通しねがい、感謝いたします」

「建前はよい。用件を述べよ」



深く平伏した父の言葉を遮る様に、ユアン王が言葉を紡ぐ

どこか気の短そうな御方だ




「――陛下。東の果てにある、アネモスの国をご存じで?」



ゆっくりと伏せていた頭を上げて、王の目をじっと見つめて問いかける

一瞬俺のその表情を見て、微かに体を引いた王だが、ぐっと唇を結んで頷いた




「伝説の光の国であろう。世は信じておらぬがな」

「伝説などではございませぬ、陛下」

「何故、そう言いきれる」



どこか不機嫌そうに俺を睨みつける王

王座に深く腰かけて、小さく鼻で笑ってから近くに控えていた者から飲み物を受け取った

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