My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ


「――ホリスが死んだ」




小さく呟かれた言葉が、胸に落ちる

その瞬間、目の前に浮かんだホリスの姿



美しい銀の髪

どこまでも透き通る声



交わした約束





「死んでしまった」




彼女の震える声が、俺の胸に響く

そんな彼女を、ただただ強く抱きしめた




「全部終わったら、一緒に花を摘みに行こう」

「――」

「ホリスが好きだった花を、一緒に」

「あぁ」

「そして、この国をもう一度美しい国に甦らせる」

「――」

「それが、ホリスの願いだ」




涙で濡れた彼女の顔を覗き込む

そんな俺の姿を見て、ぐっと唇を噛みしめたレイア

そして、小さく頷いた




そんな彼女の手を握って、ゆっくりと腰を上げる

目の前に広がるのは、真っ黒に焼け焦げた世界

以前のアネモスの姿は、もうどこにもない



それでも




「失ったばかりではない」




目の前にいるのは、アネモスの為に戦ってくれた多くの騎士達

そして、信じて待ってくれたアネモスの騎士達



もはや、以前の様に

アネモスは孤立してはいない


< 376 / 388 >

この作品をシェア

pagetop