My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「――ホリスが死んだ」
小さく呟かれた言葉が、胸に落ちる
その瞬間、目の前に浮かんだホリスの姿
美しい銀の髪
どこまでも透き通る声
交わした約束
「死んでしまった」
彼女の震える声が、俺の胸に響く
そんな彼女を、ただただ強く抱きしめた
「全部終わったら、一緒に花を摘みに行こう」
「――」
「ホリスが好きだった花を、一緒に」
「あぁ」
「そして、この国をもう一度美しい国に甦らせる」
「――」
「それが、ホリスの願いだ」
涙で濡れた彼女の顔を覗き込む
そんな俺の姿を見て、ぐっと唇を噛みしめたレイア
そして、小さく頷いた
そんな彼女の手を握って、ゆっくりと腰を上げる
目の前に広がるのは、真っ黒に焼け焦げた世界
以前のアネモスの姿は、もうどこにもない
それでも
「失ったばかりではない」
目の前にいるのは、アネモスの為に戦ってくれた多くの騎士達
そして、信じて待ってくれたアネモスの騎士達
もはや、以前の様に
アネモスは孤立してはいない