My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
始まり
「こんな所にいたのか」
そんな声を聞いて振り返ると、小さく溜息を吐いた父がこちらを見て、微かに微笑んでいた
「どうしたの? 父さん」
ゆっくりと屈んでいた腰を上げて、父に向き直る
隣で共に木を植えていた民に断って、歩き出した父の隣に駆け寄った
「お前は目を離すと、どこへでも行くな」
「その言葉、そのまま父さんに返すよ」
俺の言葉を聞いて、バツの悪そうな顔で空を見上げた父
その様子を横目で見ながら、目の前に広がる景色に目を細めた
美しいレリーヌの滝と、一面に広がる緑の草原
溢れんばかりの光が、天から降り注いでいる
「―――本当に、この国はすごいな」
小さく呟いた父の言葉に同意する様に、頷く
俺も同じ事を思っていたから
――あの戦から、もう半年が過ぎた
始めは焼け野原と化したこの国を、本当に再生できるのか不安だった
それでも、この国の民は本当に強い
毎日諦めずに木を植えて
土を耕し
街を再建した