My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「――で、どうしたの? 父さん」
「ん? あぁ。姫が呼んでいる」
思い出した様にそう言った父
そして、レリーヌの滝に向かってニタリと笑って指を指した
その言葉を聞いて、思わず顔が綻ぶ
小さな丘を駆け下りて、溢れんばかりの緑の草原を駆けていく
そして、現れる2つの影
「アレン様」
先に俺の姿に気づいたグレイスが、ニッコリと笑う
それに続く様に振り返ったレイアが同じ様に微笑んだ
その姿に思わず目を細める
太陽の光を浴びて輝く金と銀の髪
どこまでも透き通るターコイズの瞳
「顔に土がついているぞ」
思わず見惚れてしまった俺にゆっくり近づいてきたレイアが、クスクスと笑いながら俺の顔に手を伸ばす
柔らかい風と共にレイアの指が頬を撫でる
そんな俺達の姿を見て、クスッと小さく笑ったグレイス
そして、小さく足を折りながら
「――では、私はこれで」
「グレイス?」
「お邪魔でしょうから」
そう言って、クスクスと笑いながらその場を後にした彼女