My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ


「――で、どうしたの? 父さん」

「ん? あぁ。姫が呼んでいる」



思い出した様にそう言った父

そして、レリーヌの滝に向かってニタリと笑って指を指した




その言葉を聞いて、思わず顔が綻ぶ

小さな丘を駆け下りて、溢れんばかりの緑の草原を駆けていく



そして、現れる2つの影






「アレン様」



先に俺の姿に気づいたグレイスが、ニッコリと笑う

それに続く様に振り返ったレイアが同じ様に微笑んだ



その姿に思わず目を細める

太陽の光を浴びて輝く金と銀の髪

どこまでも透き通るターコイズの瞳




「顔に土がついているぞ」




思わず見惚れてしまった俺にゆっくり近づいてきたレイアが、クスクスと笑いながら俺の顔に手を伸ばす

柔らかい風と共にレイアの指が頬を撫でる



そんな俺達の姿を見て、クスッと小さく笑ったグレイス

そして、小さく足を折りながら




「――では、私はこれで」

「グレイス?」

「お邪魔でしょうから」




そう言って、クスクスと笑いながらその場を後にした彼女



< 380 / 388 >

この作品をシェア

pagetop