My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
花の香りが光と共に振ってくる
そんな中、彼女の髪をすいて微笑む
「愛してる」
「私も、愛している」
穏やかな表情で笑った彼女が、チュッと小さな音を立ててキスを落とす
「――足りない」
「足りないとはなんだ」
「もっと」
「そんな事――んっ!」
頬をピンクに染めた彼女の体を抱き寄せて、唇を塞ぐ
甘い香りに咽返りそうになる中、強く彼女を抱きしめた
ゆっくりと唇を放すと、伏し目がちな彼女が唇を噛む
不思議に思って首を傾げると、恥ずかしそうに彼女が言った
「―――もっと」
見上げた空は
どこまでも続く、青空だった
【完】