My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
◇
「――朝...か」
目の奥が痛くなる程、晴れ渡った空を見上げて、そう呟く
昨日の雨もすっかり止んで
世界はキラキラと露だけが残っている
「お目覚めですか?」
扉の開く音が聞こえたと思って振り返ると
そこにグレイスが立っていた
その表情がいつもより陰っている事に気づく
「どうした?」
「どうした、などと...」
首を傾げた俺に、キッと視線を向けて
抗う様に、そう言ったグレイス