アイスブルー(ヒカリのずっと前)


クラスに入ると、結城は鞄からノートを取り出し、拓海に渡す。


「早くしろよ。二限目だぞ」

「わかってるよ」
拓海は窓際の一番後ろの席に座り、ノートを写し出した。



まだほとんどの学生が登校していない。
クラスメートが全員出席すると、これからの季節は暑苦しい。
このくらいの人数のほうが、快適だ。


教壇の正面、前から二番目の席に座った結城は、身体をのばすとそのまま突っ伏して寝始めた。
その後ろ姿をちらりと見て、

拓海は
「また痩せたかな」
と思った。


結城はもともと細身だが、最近一層細くなった。
肩のラインが身長の割にあまりにも華奢だ。


窓からの太陽の光が、空気を暖める。
たくさんのほこりが舞っていた。


拓海は書く手を休ませ、窓から外を眺めた。
校門から続く石畳を、学生達がぱらぱらと歩いている。
運動場には、朝練に出て来た陸上部が、そろそろ教室に入ろうと支度をしていた。

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