アイスブルー(ヒカリのずっと前)


終業のチャイムがなると、拓海は結城に手を振った。
結城も軽く手をあげて、携帯でメールを打ち始める。
拓海は一人鞄を抱えて、教室を出た。


結城とは、幼い頃からずっと一緒だ。
同じ団地の、フロア違い。


結城の母親は若く、そして華やかだった。
地味な拓海の母親とは対照的だったが、お互い若いシングルマザーだということもあって仲がよかった。


学校から帰ると、結城の家で漫画を読んだりゲームをしたり。
もちろん、くだらない話も延々とした。


陽がおちてくる時間になると、仕事にでかける結城の母親を見送ってから、結城と一緒に拓海の家に移動した。
そして、拓海の母親が帰ってくると、三人で夕飯を食べるのだ。


父親がいないということを、寂しいと思ったことはほとんどない。

結城がいてくれたからだ。


結城は小さいころから、ずば抜けて目立っていた。
顔立ちもそうだし、成績もダントツによかった。
でもどこか人を寄せ付けない感じがあって、拓海が唯一結城の懐に入れる友達のようだった。
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