アイスブルー(ヒカリのずっと前)
サンダルを通して、コンクリートの熱が伝わってくる。
日差しが腕にあたって、じりじりした。
「夏の課題、終わった?」
結城がたずねる。
拓海は首を振った。
「もう、休み終わるよ」
「知ってる」
「じゃあ、やれよ」
「写させて」
拓海が言うと、結城が苦笑する。
「ちょっとは自分で努力したら?」
ストライプのシャツの一番上のボタンを外しながら、結城が言った。
「まだあっついな」
拓海は「うん」と頷くと、
どうしたらいいかわからず下を向いた。
左の頬に、結城の視線を感じる。
拓海は結城と並んで、駅の方向に歩いた。
「海、行く?」
結城が言った。
「え?」
拓海は驚いて顔をあげる。
「海。夏も終わりだから」
「だって、講習は?」
「いいよ、別に。一日くらいさぼったって」
「いいの?」
「いいよ」
結城が言った。
「クラゲ、いるかも」
「別にいてもいいじゃないか」
結城が馬鹿にしたように鼻で笑う。
「そうかな」
「入らなきゃいいんだ」
「そっか」
拓海は頷いた。