アイスブルー(ヒカリのずっと前)
日陰に入ると、ほっとする。
レジには真っ黒に焼けたバイトの男性がいた。
拓海はレジ脇のクーラーボックスから、炭酸飲料のペットボトルを取り出した。
「俺も」
結城が言う。
拓海は二本、手にとった。
お金を払うと、再び日差しの下に出る。
「日差しをよけるところがない」
結城が顔をしかめる。
「パラソル借りる?」
拓海は聞いた。
「男二人で、パラソル……なんか、やだな」結城は笑ったが
「それもありか」と言って、再び海の家に入って行った。
真っ白なパラソルが、ぱっとひらく。
慣れた手つきで、先ほどのバイトがチェアを広げた。
座ると、思わず溜息がでる。
濃紺の海。
白い波がたつ。
空は水色。
白い雲が浮かんでいる。
風が心地よい。
拓海はサンダルを脱いで、砂の中に足を埋めた。
「気持ちいいよ」
結城もサンダルを脱いで、砂に足を入れる。
「あつい」
「あったかいって言うんだ。砂風呂にいるみたい」
「健康になるな」
結城が更に足を砂にもぐらせた。
二人でしばらく、ぼうっと海を眺めた。
どうやって話したらいいかわからない。
静かに目を閉じて、波の音に聞き入った。