LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

　雄二の中で、様々な感情が入り混じる中、あの時の自分を思い出していた。

　もし、自分が敬吾の立場なら、同じことをしただろうか？

　雄二はもうひとつ、敬吾に尋ねてみる。後悔しなかったか、と…

　彼は首を横に振った。
「あの時、堕ろした方がいいと言っていた方が、俺は後悔していたと思う。例えお前のＤＮＡを受け継いでいたとしても、ひかりは俺のこどもなんだ。その事実は、今も変わらない…」

　遊んでいるひかりを抱きしめながら敬吾は話をする。雄二は、もうこれ以上、何も言うことができなかった。

「お前から陽菜を取り上げてしまったことは、今でも悪いと思うよ。でも、俺があの時、彼女を愛したことに後悔はない。俺は、死ぬまで彼女と娘を愛しつづけるよ…」

　その時の敬吾の顔は、菩薩のように穏やかで優しい笑みを浮かべていた。