LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

「お義母さん」

　雄二は、真っすぐに逸子の目を見た。

「同じことは繰り返しません」

　暫く、二人はお互いの目を強く見つめ合っていた。深空はその様子を黙って見守っている。先に口を開いたのは、逸子だった。

「…そう。好きにしなさいな。あたしは深空に見限られてるし。あの子に執着するつもりもないわ」

　逸子は、鼻で笑った。すると深空は、雄二と逸子の間を割って入った。そして、逸子を睨みつける。

「あたしは、お母さんみたいな人生にはしない」

　深空の鋼のような強い眼差しに、逸子は同じ視線を深空に浴びせる。しかし、すぐに小さく笑い、肩を竦めた。

「…そうね。それがいいわ」

　逸子は、目の前のローテーブルに置いてあるタバコに手を伸ばし、火を点ける。そして、煙を吐いた。

「確かにあたしは夫に見限られ、自棄になってた時もあったわ。でも、その中にあたしの人生を変える何かがあったわけじゃなかった。なんでか、解る？」

　逸子は、深空に問う。しかし、深空が答えを見出だす前に、逸子はまたしゃべり出す。

「あたしはね、結局はあんたを見捨てることができなかったの。あんたがあたしをどんなに憎もうがね。やっぱり、お腹を痛めて、すごく苦しんで産んだわけだし」

「…何が言いたいわけ？」

　眉をひそめ、強い口調の深空。しかし、逸子の目は、それとは正反対だった。