LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
「…何よ、それ」

 深空はたまらずに口を尖らせた。

「何が?」

「何がって…!」

 深空は肩を震わせていた。

「あんたは、あたしをお荷物みたいに扱ってたじゃない!!」

「母親を目の前にして、"あんた"って… まぁ、いいわ。」

 逸子は苦笑いを浮かべて続ける。

「お荷物ね… ちょっと違うわ」

「何が違うのよ?」

 深空がイライラして聞き返すと、逸子はため息を吐く。

「あたしは、すぐに強がってしまっていた。あんたに弱みなんて見せてはいけないと、必死だった。…でも、心の中で悲鳴をあげてた。あんたの"親"になればなるほど、それは大きくなるばかりだった」

 逸子はタバコを指で挟み、テーブルに置いてあるマグカップに手を伸ばす。

「あんたの前では強がっていても、不安の中にいたあたしには、あの人に変わる安心が欲しかった。でもどんなに愛を囁いてもらっても、見つからなかった。そう解った時には、あんたはあたしからすり抜けていってしまった… 」

 情けない、と付け足し、逸子は小さく笑った。

「…弱かったのね」

 逸子は、自分の肩を抱き、俯いた。

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