LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
「深空」

 家の門の前で座り込む深空に、雄二は声をかけた。

「……」

 深空は、頬を涙で濡らし、口を真一文字に結んでいる。

「お義母さんから許可もらったから、これから婚姻届取りに、役所に行くぞ。あと、母子手帳もな。そのあと、俺は仕事に行くから」

 深空の腕を掴み、雄二は彼女を立ち上がらせる。

「…それ終わったら、先生の部屋で待っててもいい?」

 目を腫らした深空は、弱々しく言った。しかし、雄二は深空の顔を自分の両手で挟み、「ダメだ」と厳しく答えたのだ。

「なんでよ」

「…もっとお母さんと話すことあるだろ」

「ないよ」

 深空が即答すると、雄二は困ったように笑い、溜息を吐いた。

「もっと向き合えよ。お母さんと」

 彼は、強い眼差しで深空の顔を見つめる。深空は、その視線から逃れるように、目を逸らそうとするが、雄二は深空の顔を自分の方に向けた。

「……」

 深空は、小さくうなずいた。それを見た雄二は微笑み、「行こう」と言って
、深空の手を取った。

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