LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
「年末、俺の実家に一緒に帰ってほしいから、準備しといて」

 頭を掻きながら、雄二が言った。深空はしばらく雄二の顔を、ぽかんとしながら見つめていた。

「…深空?」

 彼女の顔の前で、雄二は指をちらつかせる。

「あぁ、ごめん…」

 目線が定まらない深空に雄二は笑いながら、彼女の肩を抱いた。

「そしたら、籍入れよう」

 雄二のその言葉に、彼女の目が大きく開き、頬に微かに赤みがさした。

「…うん」

 雄二の相変わらず大きな手の平が、深空の髪をくしゃっとする。深空は、小さくうなずいた。

「夕飯、食って行くだろ? 買い物でも行くか」

 雄二は立ち上がり、深空に手を差し延べる。深空はその手を借りて、立ち上がった。

「ありがと」

 にこっと笑いを含ませながら、深空は礼を言った。そして、期待に満ちた目を彼に向けながら「何を作ってくれるのかなー?」と嬉しそうに口にした。

「何作るかなー」

 それに応えるように、笑みを含ませながら雄二も同じ調子で言った。

 つわりでしんどい深空のために、雄二が腕を振るう。つわりで辛くても、その優しさが、彼女の気持ちを楽にしてくれる。深空は、口に飴玉を含みながらそう感じていた。

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