LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
「えっと…」

 頭を掻きながら、その沈黙を破ったのは雄二だった。

「早く思い出せたら、君をそんなに悲しませることもないのにな…」

 外の冬の風が、そんな彼の髪を揺らす。深空は、潤む瞳を隠すように立ち上がった。

「冷えてきたね。窓、閉めるね」

 彼に背を向けて、深空はガラス戸に触れる。そして、しばらく窓の外を見つめていた。

< 151 / 376 >

この作品をシェア

pagetop