LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

　彼の笑顔は、何の混じり気も無く、ピュアで温かく、とても優しかった。彼のそんな横顔を見る度に、深空は心から笑えない自分がいることに気が付く。

　温和なこの空間に、厳しい現実を突き付けられている…

　節子が張り切って、あの小さなキッチンに立ち、嬉しそうに料理を始める。我が子の不幸を冷静に受け止め、対処する彼女の強さを改めて実感していた。

（あたしも…　見習わなくちゃ）

　気を取り直し、彼女は部屋の本棚を見て回っている雄二の隣に立った。

「すごいテキストの量だな…」

　本棚に収められているテキストを手に取り、雄二は驚いていた。

「あ、これ懐かしー…」

　雄二が持っているテキストを手に取り、深空は昔を思い出し、笑った。

「懐かしい？」

「うん。あたしが習ってたときの国語のテキストだよ。こんな昔のまでとってあるんだ…」

「へぇ」

　あまりピンと来ていない雄二だったが、深空が懐かしそうにテキストをペラペラとめくっているのを見ていると、次第に胸の鼓動が早くなっていた。