LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 扉の影から顔を出したのは、申し訳なさそな顔をした雄二だったのだ。

「…先生、どうしたの」

「ごめん」

 真冬だというのに、雄二の額には汗が光っていた。

「…なんで家、解ったの? 覚えてたの?」

 深空が尋ねると、彼は首を振り、答える。

「解らないけど、体が勝手にここに辿り着いた、というか…」

「え…?」

 雄二の答えに、深空は怪訝そうな顔を浮かべる。しかしすぐに気を取り直し、雄二を家にあげようとした。ところが、雄二は真剣な顔をして深空の手をとる。

「君と一緒に行ったところを、今から回ってくれないか」

「え、なんで?」

「いいから」

 雄二は、深空の手を引き外に出ようとする。

「ちょっ、まっ…! せめて、着替えさせて!」

 ゆるゆるのルームセットに、半てん姿の深空は、なぜか焦っている雄二を制止して、すぐに支度を始めた。

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