LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
　暖かく優しいオレンジ色の照明が、室内を照らしていた。

　部屋に入ると嫌でも目に入るのは、キングサイズ程の大きなベッドだった。そのベッドを前にして、二人は言葉をなくしていた。

　雄二はそんな雰囲気を振り払うようにベッドサイドに座り、タバコに火を付ける。そして、丁寧にかつ真剣に部屋全体を見渡してあた。

　口から無意識に吐かれた煙がゆらゆらと昇り、空中で散っていく。懐かしい香を残して…

　彼が何かを考えようとすると、決まって彼を襲うのが頭痛とめまいだった。今も、顔を歪ませながら必死になって、"忘れ物"を探していた。

　深空は腕を組み壁に寄り掛かりながら、そんな雄二の様子を黙って見ていた。しかし、次第に彼女を支配する気持ちが、胸を締め付けてくる。ずっと、仕方のないこととして我慢していた気持ちが、溢れ出しそうになるのだ。

　精一杯我慢をしたが、彼女の抱えていたその思いがこぼれ落ちそうになった時、涙となり、彼女の頬に伝う。

「…どうしたの」

　様子のおかしい彼女に気付き、雄二は深空に駆け寄った。しかし深空は首を横に振るだけで、何も言えなかった。

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表紙・目次

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