LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
　満足そうな顔をして、雄二は床に寝っ転がる。そして自分の腹を軽く叩いていた。深空が食べた食器を片付けようと立ち上がると、彼はそれを制止した。

「深空、待って。座って」

　急に改まった雄二に、深空の手が止まる。

　彼女は、ソファに座った。すると、寝転がっていた雄二も体を起こし、彼女の横に移動した。

「…どうしたの」

　一抹の不安を抱き、彼女は雄二に尋ねた。彼はゆっくりと口を開いた。

「もし、俺が今の仕事を辞めて、実家の工場の手伝いをしたい、って言ったら、お前は付いて来てくれるか…？」
　彼の突然の言葉は、まるで深空の脳天を貫いてしまうかの如く、戸惑いをはるかに超えた衝撃を与えた。

「…どういうこと？」

　眉をひそめながら、彼女は彼にその真意を尋ねた。

「兄貴に誘われたんだ。親父が死んだ今、お袋に今まで通り、ひかりの母親替わりをお願いするのは、しんどいんじゃないかってね。…俺が、家族を助けられたらって思ったんだ」

「それはつまり、あたしがそれに"No"と言ったら、別れるってこと？」

　彼女の疑問に、彼は首を振った。

「そうじゃない。お前が嫌なら、断るよ」

　雄二は、そう言って彼女の髪を撫でた。

「…でも、可能なら帰ってやりたいと考えてる」

　彼はそう付け加えた。
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表紙・目次

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