LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
(あれは…?)

 小さな段ボールが、奥にひとつ。その箱には、何も書かれていなかった。

 埃だらけだったが、指で触ったあとが真新しく付いていた。

 深空は、息を飲み黙ってその箱を開けた。

(あ…)

 その箱の中身を見た瞬間、彼女は固まっていた。

 アルバムに収められたたくさんの写真に、何通もの手紙…

(…陽…菜)

 手紙の贈り主を指でなぞり、彼の抱いた思いを痛いほど受け止めていた。それと同時に、物凄いジェラシーが彼女の中で燃え上がっていることにも気付く。

 深空は思わず熱くなる胸を押さえ、乱れる呼吸を整えようとしる。しかし、自分を抑えようとすればするほど涙が込み上げ、こぼれていたのだ。

 深空は、どうすることもできない思いをぶら下げながらロフトから降り、ベッドに潜り込んでいた。

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