LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 深雪と二人で暮らしはじめて、三年。あの日、深空は愛している人のこどもを産んだ。

 自分を保っていくため。彼の残したものを大事にするため。だから、彼の帰りを待ったことなどはないのだ。

 もし、一緒に暮らせたら…

 そう考えることも時にはあった。

 もう一度やり直せるなら、今度こそ幸せになれるのか…?

 しかし、そう考えれば考えるほどやはり現実味がないことを気付かされる。虚しくなるのだ。

(あたしには、深雪がいるから、寂しくなんてない…)

 深空はもう一度、隣で眠る娘の頬に触れた。滑らかなその肌触りに、心が穏やかになっていく。深空も体を横たえ、布団に入る。目を閉じるとやがてまどろみはじめた。そして、そのまま疲れた体を癒すように、深い眠りに落ちていった。

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