LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 電車で30分ほど揺られ、着いた場所は自然豊かな公園だった。

 手を繋いだ親子は、暖かい風に包まれながら正面ゲートをくぐり、公園内に入って行った。

 しばらく砂利道が続くが、やがて地面は土に変わり、前方には大きな池が広がっている。深空は左手にある売店に寄り、お茶のペットボトルを買うと、池の脇に設けてある遊歩道に向かって再び歩きだす。深雪は深空の手を離すと、笑いながらその先へと走って行った。春休みのせいもあり、辺りはたくさんの人で賑わっていた。

 この自然公園は、モルモットやうさぎ、ひよこなどの小動物を触れる小さな動物園があったり、バーベキュー場があったり、夏になれば蛍が飛び回る川があったりと、自然溢れる緑豊かな公園である。深空が小学生の低学年のころ、遠足にに来た記憶もある、広大な公園なのだ。

「あんまり、走らないでー」

 両手をメガホンのようにして口の周りを囲いながら、小さくなっていく深雪に向かって深空は叫んだ。

(何であんなに走るの好きなんだろ?)

 苦笑いを浮かべた彼女は、早足になりながら深雪を追い掛けていた。

< 279 / 376 >

この作品をシェア

pagetop