LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

「そっか…」

　ガラスのコップを見つめる深空。その奥に映る、雄二。ボーッとそれを眺めていると、奥の部屋で眠っていた深雪が、目を擦りながらすぐそばに立っていた。

「深雪、どうしたの？」

　すぐさま深空は立ち上がり、深雪のそばに駆け寄った。

「のどかわいた」

「ん。待ってて」

　深雪をちゃぶ台の前に座らせ、深空は深雪のプラ製の手つきコップに麦茶を入れると、それを差し出した。

　深雪はそれを飲んでいると、隣に座っている雄二に気づき、彼の顔を不思議そうに見つめていた。

「こんばんは」

　雄二がにこっと笑いかけると、深雪も微かに笑う。

「なんて名前？」

　雄二が優しく深雪に話しかねる。深雪は目を擦りながら、小さな声で「みゆき」と答えた。

「深雪ちゃんは、いくつ？」

　また彼が深雪に尋ねると、彼女は指で"三"と表した。

「三歳か。えらいね」

　彼がまた笑いかけると、深雪も少しだけ嬉しそうに笑った。

「お兄さんは、雄二。よろしくね」

　雄二がそう自己紹介するのを聞いて、深空は思わず吹き出していた。

「"お兄さん"って…　もう"オジサン"じゃない」

　腹を抱えて笑う深空に、雄二は少し安心したような顔をする。

「まだまだ"オジサン"なんて呼ばせねぇよ」

　そんな彼に、涙を拭いながら笑っている深空。深雪も笑いながら、また自分の布団へ戻っていった。