LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 変わることの無い、お馴染みのタバコの匂い。深空の鼻孔に、それは確実に届いていた。

「…ダメ」

 彼女は、後ろから抱きしめる雄二の吐息を首筋で感じながら、彼から離れようと抵抗する。しかし、間近に感じる彼の体温に膝の力が次第に抜けていくのを感じていた。

「…このままいさせてくれ。あと少しでいいから…」

 雄二のその言葉に、何かを感じ取る深空。彼の熱い体温で溶けそうになっていた意識が次第にはっきりと戻る。そして、彼女の相変わらず細い体を抱きしめる彼の暖かさを他人事のように受け止めていた。

(何かあったの…?)

 しかし、口には出せない。出せば、何かが崩れてしまうのではないかと、恐怖心さえ覚える。

 雄二は、やがて力を抜き、深空を解放した。そして荷物を手に持ち、玄関に向かった。

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