LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
「押しかけちゃって、悪かった。行くわ」

 靴を履き、玄関のドアを開けようとする雄二。その去り際に見せた笑顔は、三年前にふたりで住んでいたあの部屋で見たあの寂しそうな笑顔……

 彼女の記憶にあるあの時の彼の顔と、ピッタリと重なったのだ。

 その瞬間、深空の中で何かが弾けた気がした。

 そのまま帰したら、後悔する…

 なぜかそう思ったのだ。

「…深空」

 今度は彼女が、彼の背中に抱き付いていた。

「行かないで」

「…え?」

 突然の彼女の行動で、雄二も驚きを隠せない様子だった。

「ズルイよ…。自分だけ勝手に抱きしめておいて出て行くなんて… あたしあなたのこと、忘れたことなんて今までに一度もなかったのに…!」

 深空の、彼の服を掴む力は一層強まっていった。

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