LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 彼の中で、もう理性など吹っ飛んでいた。

 彼女を強く抱きしめ、床に倒れ込む。そして、夢中になって深空の唇を貪っていたのだ。深空も彼の成すがまま、それを受け入れていた。

 後戻りできなくなるかもしれない…

 後でまた泣くことになるのかもしれない…

 それでも、今の深空は雄二の手を離すことなどできなかった。



 久々に過ごす、熱い夜…

 懐かしい彼のあのタバコの匂いが、深空のあの頃の記憶を呼び覚ましていた。

 無心で愛していたあの時…

 あの頃の自分が、こんな風に時を刻み、過ごしていくなんて微塵にも考えていなかった。掴みかけた幸せを必死に追い掛けていたあの頃を懐かしむように、今ふたりはお互いを求め合っていた。

 滲む汗がキラリと光る。

 漏れる声を殺しながら、深空は霞んで揺れる雄二の顔を眺めていた。

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