LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 彼女はふと我に返り、落としそうになった本を慌ててキャッチする。

「あ、すいません」
 
ぶつかってきた男が小さな声で謝った。深空は「あ、いえ…」と答えながら、その男の顔を見た。

(あ、あれ…?)

 お互いがお互いの顔を見て同じリアクションをしている。

「大村先生…?」

「深空…?」

 お互いの存在を確かめ合った時、「次の方、どーぞー」とレジの店員が彼女を呼んだ。彼女は本をカウンターに置くと、急いで会計を終わらせた。

「先生!」

 深空は、本屋の外で待っていてくれた男を呼び止めた。

「うす。久しぶりだなー」

「そだね」

 久しぶりに会うその男は、彼女を懐かしい目で見ていた。

「大きくなったなー…」

「大きくなったって… もうあたし、二十歳だよ」

 子どもの成長を喜ぶかのように言うその男に、深空は苦笑いをしながらそう返した。

「そっかー。元気か?」

 それでも、久しぶりの再会に喜ぶ彼は、構わず目尻を下げていた。男のその問いに、深空は満面の笑みでうなずいた。

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