LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

『あたしは、本当の愛などいらない』

　深空は常にそう思っていた。

　家に帰っても、誰もいない。父親も、母親もどこで何をしているのか、深空にはもう興味なくなっていた。

　彼女にただ与えられているのは、自由という名の孤独だった。



　父親は今宵、誰と過ごしているのか―

　まだ親の愛を求めていたあの頃。深空は父の背中など追い掛けた記憶はない。物心をついた頃から、父親との思い出は、彼女には無かった。

　母親は、帰らない父を思い、よく泣いていた。深空はそんな父が憎かった。

　自分だけが母の支えなんだと、彼女は強く信じ、母と二人の時間を過ごしていた。深空が慕えば、母はそれに応えてくれる。深空が学校の友達が通っている塾に一緒に通いたいと言い出せば、母は通わせてくれた。

　深空は父のいない生活でも、それが不幸だと感じたことは無かった。