LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

　しかしそれから数年後、彼女が中学生になった頃のことである。

　深空は、母が必死に何かを隠しているのに気付くのだ。

　母は、週のほとんどを残業して帰ってくるようになった。深空は少し寂しさを感じていたが、仕事を頑張っている母に、そんなことを言えるはずがない。

　ある日の夜、残業を終えて帰ってきた母は、いつものようにキッチンに立ち、夕食を作る。そんな母の無防備に置いてある携帯…。深空はこっそりと中を覗いてしまったのだ。

　その小さな機会の中には、知らない男の影が映ったのだ。

　それが何を意味するのか…

　中学生だった彼女には、あまりにも刺激的で、理解しがたいものであったのだ。

　しかし、ひとつだけ解ったこと。母は、男がいなければ生きていけないということだ。血のつながった自分より、他人を選んだ母に対して、彼女はそんな母を軽蔑するようになったのだった。