LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 彼は携帯をズボンのポケットから取り出し、翠に電話をかけるが、携帯の契約を解除されていたのか、翠には繋がらなかった。

「ちくしょう…」

 軽く舌打ちをしてから、隣の工場の前に停めてある白い軽トラックに乗り込み、雄二はエンジンをかけた。

 少し遅れて深空も助手席に乗り込むと、彼は車を発進させた。

「…どこ行くの?」

 深空の問いに、雄二はシフトレバーを忙しく動かしながら口を開く。

「翠のよく行く所だ」

 そして彼は車をスピードに乗せて、少々乱暴であったが左のウィンカーを出して車道に飛び出した。

< 333 / 376 >

この作品をシェア

pagetop