LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 二人が落ち合った駅から乗ったタクシーを降りて、コンビニで飲み物を買った後、雄二は深空を連れて五分ほど歩く。

 着いたところは、小綺麗な白壁の二階建てのアパートだった。

「暗いから、気をつけろよ」

 アパートの脇にある外階段を上りながら、チカチカと切れそうな蛍光灯を気にして雄二が声をかける。

「あ、うん…」

 薄暗い中、何となく落ち着かない様子であちこち見ながら階段を登る深空は、興奮気味であった。

 鍵をガチャリと開けて、ドアを開く雄二は、その様子をぼーっと見ている彼女に手招きをする。深空はハッと我に返り、狭い玄関に足を踏み入れた。

「お邪魔しまーす…」

 小さな声でそうつぶやき、深空は目の前に広がる雄二の住家を見渡した。

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