LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
「私の背中を押したのは、やっぱり…?」

 暑くもないのに、額にじんわりと汗をかきながら、深空は口にした。

「そう。その後すぐにタクシーに乗って、あなたの大事なオチビさんを迎えに行って、すぐに新幹線に飛び乗ったわ」

「深雪をどうするつもり? 無事なの…?」

「心配いらないわ。あの物置の中で、少し眠ってもらってるの。…さて」

 翠はニヤっと笑った。

「ここはね、自殺の名所としても有名なの。ここは山に建つお寺。下は崖。…私の父も、ここで命を絶ったわ」

 そう口にして、彼女の笑い声が深空の耳をかすめていた。

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