LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
「…この二年半、あなたは私に優しくはしてくれたけど、触れてはくれなかった。拒まれてたのも解ってたけど、待とうと思ったわ… でもあなたは…、私を見ようともしてくれなかった。また負けた。今度はこんな小娘なんかに…」

 翠の瞳は、涙で揺れていた。今にも零れてしまいそうな涙… 。寂しく揺れるその涙に、誰も気付かない訳がない。

「あなたも自分の命に替えてまで、この女の子どもを助けようとするのね…」

 自嘲気味に笑う翠。

「そうよね… 離れていても、あなたの子だものね…」

「…翠」

 雄二は、ナイフを握る翠の手を上からそっと握った。

「今まで、こんな俺のそばにいてくれてありがとな」

そう語る彼の目は、とても穏やかだった。

「…一緒に行こう」

 雄二は、翠の頬を優しく触れた。その彼の目はとても寂しくもあり、何かを決意したような強いものでもあった。

 そんな彼の目を、深空は何度も見たことがある。
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