LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

　違う…

　そうじゃない……

　死ぬことだけが、蹴りを付けることじゃない…



（"死"が、どれだけ人を傷つけるか、みんな知らない訳がない…！！）

「バカげてる。あなたはそうやって私を命懸けで守ってくれたことなんてなかった…！ この女のために私と死のうとするなんて、一体私をどこまで惨めにするつもり？！」

　目を大きく開き叫ぶ翠。彼女は、深空を力いっぱい柵に押し付けると、雄二を押し退けてあの物置の方に走り出したのだ。

　ポケットに手を突っ込み、ライターを取り出すと、翠は火を付ける。そしてその火を物置に投げようとした。

「やめてーっ！」

　深空はありったけの声をあげて、足をもたつかせながら翠の元へ走った。しかし翠は深空のその声に耳を傾けることなく…

　その火が弧を描いて引き戸の辺りにポタリと落ちると、ガソリンが燃えたような匂いが辺り一面に充満し、黒い煙が立ち込みはじめたのだ。