LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
「食欲無いのに、ブラックで飲んだら胃に穴が空くよ」

 夏美は心配そうな顔をして深空に注意するが、「そうだねー…」と上の空で答える深空に目を丸くしていた。

「深空ちゃん?」

 夏美は深空の顔の前で広げた手の平を激しく揺らしてみる。

「え? あ、うん。ごめん。なんかランチで久しぶりに動いたら疲れちゃって…」

 やっとまともに答えた深空に、夏美はエプロンのポケットに入っていたポーションミルクを彼女に渡した。

「そーだよね。久しぶりだもん。階段から落ちちゃったんだって? 大丈夫だった?」

 ドジだね、と言わんばかりに笑いながら夏美は言う。深空もそれに合わせて笑ってうなずいた。

「でも、だいぶ治ったから。たくさん休んじゃってごめんね」

 赤い舌をペロッと出して、深空はおどけながら謝った。

 既に決まっていた今月のシフトを、怪我で休んでいた深空の代わりに出勤してくれたのがフリーターの夏美だったのだ。

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