LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
「ねぇ、そーいえば、伸夫くんとのこと、解決した?」

 思い出したように夏美がそう口にする。

「えっ?」

「最近伸夫くんの姿、見掛けないからさ…」

 焦る深空を余所に夏美は好奇心いっぱいな目を向けてくる。

「…うん。ちゃんと別れたよ」

 なんとか笑い、この話題から早く切り抜けたいと思いながら深空は答える。しかし夏美は、腑に落ちない顔をしていた。

「なぁに?」

 そんな夏美に、つい聞き返す。

「いや、なんかさー…」

「え?」

「この間みたいに、口調にキレがないね。…どうかした?」

 心配そうに言う夏美に、深空はドキッとする。

「…そう? 生理が近いからかな?」

 無理のある笑みを浮かべて、深空は適当に言い訳をする。

「ふーん。そ。なるほどね」

 夏美がうなずいた時、キッチンから夏美を呼ぶ声が聞こえてきた。

「あ、はーい」

 キッチンに向かって返事をしながら夏美は席を立つ。深空は少しかホッとしていた。

(目ざとい奴…)

 彼女は小さくため息を吐き、トイレに立った。

 生理が近いというのは本当だった。最近特に疲れやすく、またあまり食欲がないのも、そのせいだろうと考えていたからだ。

 下着を下ろし、便座に座わる。

(あ、あぁぁぁ~っ)

 焦った深空は自分の付けていた下着を見て、大慌てで支度をしてトイレを出た。

「夏美! お願い、アレ、持ってたら貸して」

 ちょうどハンバーグの大きな塊を口に入れようとしていた夏美は、深空のお願いに顔をしかめていた。

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