LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
「んー、また結構まとめて休むんだなー」

　ペンを走らせながら、眉間にシワを寄せて吉井は言った。

「役立たずですいません」

　深空はぺこっと頭を下げながら携帯を閉じ、またポケットに仕舞う。

「ま、来月もまた夏美にお願いするかな♪」

　吉井は、大口を開けて残りのハンバーグを頬張っている夏美の頭をコツっと
指で叩き、事務所に入っていった。

「何アレ…」

　ただならぬ関係だと踏んだ深空は、吉井が事務所に入って行くのを見届けると、夏美に詰め寄った。

「吉井ちゃんに告白されちゃった」

　あっけらかんと夏美は言う。

「えぇ～！」

　目を丸くして驚いている深空を尻目に、夏美は最後のライスを口に押し込み
、満足そうな顔をして「ごちそうさまでした」と両手を前に合わせた。

　それを見た深空は、なんとなく吉井の気持ちを理解できた気がした。

（ふーん、なるほど…）

　外食産業に勤める人なら、こんなにおいしそうにご飯を食べる夏美を見たら、気になるのかもしれない。

　深空は何だか急に胸が温かくなり、思わず笑みをこぼしていた。

「なぁに？」

　急に笑い出した深空を怪訝そうな顔をして夏美は尋ねる。しかし、深空は何も答えずに、コーヒーカップを持って、席を立った。

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表紙・目次

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