LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 まさか、別れを告げてしまうなんて…

 深空は、自分の言動に驚いていた。

(…あっけなく終わるんだよな、このゲームは)

 首を振り、苦笑いを浮かべながら彼女は着替えの続きに取り掛かる。

 昨日の夏美のことで、自分の変化に驚いている彼女がそこにいた。

 他人の幸せを喜ぶなんて…
 少し前のあたしなら、考えられないじゃない…

(あたしは… 他人の幸せを壊してきたのに…)

 そんな自分が、幸せになれるわけがない。
 いや、そんな人生はいらない。
 生きる活力になんかならない。

(あたしは…)

 目を閉じ、一度思考を閉じる。そして、威嚇するように目を大きく開ける。

(…どうかしてる。あたし…)

 着替え終わった深空は誰に挨拶をすることなく、走ってレストランを後にした。



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