LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 深空の携帯の電話帳から削除された雄二の情報が、再び復活することはなく、またあの理不尽な別れ以来、雄二から彼女に連絡が来ることもなかった。

 深まる秋はやがて、心すらも冷たくしてしまうほどの風を吹き荒らし、冬を連れて来る。

 深空は学校の試験やレポート、バイトに、時には人数合わせに呼ばれた合コンに付き合ったりと、何気なく忙しくしていた。しかし、誰かの"モノ"にゲームを仕掛ける気力が湧かず、わりと大人しく過ごしていた。

 平常心
 プライド
 自信

 これらが無くなったら、あたしには何が残るんだろう…?

 彼女は、心の中でぽつりとつぶやく。今の彼女は、空っぽだった。

 空っぽな分、その隙間を埋めるために目の前のことを無理してこなしていくうちに、疲れていることに気付く。夜は疲れで起きていられない日が多く、よく眠る。しかし、疲れが体から抜け切らず、重い。そして、寝ても寝足りない日々が続いていた。

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