LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
　休みの日は、泥のように眠る。今日のような、休日でなおかつバイトもオフで、他に何の予定もない日のことだ。

　高い位置まで昇った太陽が放つ強い光で、部屋の中はいっぱいになっている頃に深空は目覚めた。だるい体をやっと起こし、大きなあくびをする。

（お腹すいた…）

　腹の虫がぐぅーと鳴り、彼女の喉はやたら渇いていた。深空はベッドを降り、部屋を出ると、キッチンに入る。そして戸棚からガラスのコップを出して、勢いよく蛇口を捻った。

　流れ出る水をそのガラスのコップで受け止めていると、その様子を眺めながら彼女はぼーっとしていた。やがてコップに貯まった水がシンクに溢れ出しているのに気づき、はっとする。慌てて蛇口を閉め、スレスレまで入ったコップの水をこぼして量を調整し、口に運んだ。

「…マズっ」

　まるで泥水を飲んだようなカルキ臭い水道水に、彼女は思わず顔をしかめると、すぐに水を捨ててシンクの上にコップを置いた。そして、冷蔵庫を開けて食べ物を物色し始める。

（…何もないじゃん）

　期待外れの溜息を細く吐き出すと、胃のあたりをさすりながら、パタンと冷蔵庫の扉を閉じだ。その時、また喉の渇きとともに、強烈な吐き気が深空に襲い掛かってきたのだ。

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表紙・目次

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