計算づけのヒロインが愛した正義のヒーロー
背後から襲ってきた人の早足で
逃げていく音が聞こえて、
「大丈夫?」
「あ…はっ!?」
「…何でその反応、助けてあげたのに。
俺の言うとおりだろ、
一人で帰るのは危ないって」
「何であなたがいるの…、
つけてきたの…?」
「違う、何で好き好んで
あんたみたいなムカつく女をつける」
何気に失礼なのね…。
まあいいわ…、助けてくれたことだし。
でも足に力が入らなくなったことと、
今になってアルコールが
頭に回り始めて地面に倒れてしまったの。
「おいっ…、しょうがないな」
気が薄くなり始めてしまって、
何でこんなにも誠人さんの顔が近いのか…。
一定のリズムで揺られているよう…
そのあとのことは全く覚えていないんだけどね。
「…やっと会えた、愛奏」