計算づけのヒロインが愛した正義のヒーロー
今ここから離れて昔の話でもしようか。
「何か、
愛奏ちゃんがお前と付き合い始めて
苛められてるらしい」
「どうして…」
「鈍感男め。
女子の僻みに決まってるだろ、
モテモテの誠人に手を出したからな」
「…愛奏」
彼女と付き合った理由は、
単純に可愛さに惚れてしまっただけ、
というわけではない。
あの女の子は自分のことを可愛いって思っているし、
ナルシストではあっても
可愛くなろうとしてる努力をしてる
一生懸命な女の子なんだ。
「…俺が守ってあげるから」
「気にしなくてもいいの」
ふわふわのウェーブの髪が風になびいて、
フランス人形みたいだ。